自転車事故と損害賠償 その2

 平成25年中の自転車関連事故は、全国で12万1040件、その中で最も多いのは自動車との事故で約10万件、次いでバイク、自転車どうしと続く。問題は歩行者との事故。2605件で件数は少ないが、過去10年間増加している。

 

  自動車との事故であれば、自動車側の過失責任が大きくとらえられ自転車は被害者になる例がほとんどである。
  歩行者との事故になると、自転車側に過失がある場合がほとんどで、しかも、そのほとんどが保険未加入で被害者に十分な補償ができているとはいいがたい状況である。

  平成26年3月10日の日本経済新聞には自転車のマナーに関する調査で「問題ある」とする回答が91%を占めたと報道されている。具体的に指摘されたのは「携帯電話などの操作」「夜間の無灯火」「2台以上の併走」「イヤホンで聞きながらの走行」「歩道での危険な走行」などであり、マナー違反を通り越して「法律違反」になっている。


  これらのマナー違反、法律違反は成人ばかりではなく、高校・中学生、児童など未成年者にも多くみられ、未成年者が自転車事故を起こした場合はその親が賠償責任を負うことになる。

 

  実際に高額な賠償を命じられた判決としては、
      ✪平成25年神戸地裁において小学5年男児が女性に衝突し傷害が残                るケガを負わせたものが約9500万円
      ✪平成20年東京地裁において男子高校生が男性と衝突し傷害が残る                ケガを負わせたものが約9300万円
     ✪平成17年横浜地裁において女子高校生が夜間無灯火で走行し女                 性歩行者に衝突し傷害が残るケガを負わせたものが約5000

              万円
などがある。

   雪消えとともに自転車が道路に出てくる時期になったが、マナーや法律を守って事故を起こさないように、また被害者にならないようにしたいものである。

  また、子どもに対しては親の責任でマナー、法律をしっかり守らせることが求められる。
  最近は、自転車保険も多彩になってきており、これらに加入することも検討した方が安心である。